継承される美

どんなに斬新かつ高尚な文化であっても、歴史と伝統の壁だけは越えられません。

これは「時間」という原理的な概念がある以上、至って当然の話とも言えます。

そんな中、細々と、しかし脈々と継承されてきたものほど、じつは価値があります。

そこには断絶しなかっただけの理由があり、そもそも権威性を内包していたとも考えられます。

　　　　

　　　　　

一方で、日本人は特にそうした歴史と伝統、その権威性に「美」さえも見いだす民族です。

しかし、実際は日本に限らず、すべての民族はそこにある種の精神力の宿りを感じているのではないでしょうか。

それは「継承」という所作によって生み出される、それを継ぐ者の原動力を高めるような価値とでもいいましょうか。

哲学や美学といった人文知も、現在に至るまで細々と、しかし脈々と受け継がれています。

我々も細々とではあれ、その価値を訴え続けていけば、必ずや日本人の美意識に響くはず。

そう信じて活動を続けています。